アフリカ

2019年11月28日

ディープロ代表・野呂に、大学生が直接聞いてみた!【後編:夢の原点と考え方・行動の実際】

ルワンダ滞在中の野呂代表のもとを訪れてくれた大学生・大野さんによる、弊社代表・野呂へのインタビュー。最後となる今回は、大野さんと野呂がそれぞれ、自身の夢や考え方に深く踏み込んだ上で、本音の議論をしていきます。

(ディープロ ルワンダ校にて 前列左から2人目が大野愛奈さん)

大学生・大野愛奈さんによる、ディープロ代表・野呂へのインタビューの前編では、「ディープロのルワンダにおける事業展開」について、中編では、「夢を叶えるためのスキル習得とキャリア構築」というテーマでお話をしてきました。最後となる後編では、大野さんと野呂がそれぞれ、自身の夢や考え方に深く踏み込んだ上で、本音の議論をしていきます。

スキルの獲得方法で迷っているようでは、まだ本当の意味で「スキルが必要」だと思っていない

私は卒業後の進路として、まずはコンピュータグラフィックやVFXなどといった映像制作の仕事に就きたいと思っているのですが、お金を出してスクールに通うか、あるいはコミュニティを見つけてそこで独学するかで迷っています。スキルの身につけ方について、野呂さんはどのようにお考えでしょうか?

大野さんの最終的な目標を「起業をして国際協力につながるようなビジネスをしたい」というものだと仮定して考えてみましょう。このように目標を仮定すると「こういうスキルがあれば、こういうことができるはずだ」というイメージをしやすいですよね。だけど実はこれによって、ちょうど今の大野さんのように、スキルの身につけ方について悩みが生まれてしまうことも多いんです。ただし、ちょっと厳しいことを言うと、スキルの獲得方法で迷っているようでは、「まだ本当の意味で『スキルが必要』だと思っていない」、つまり「必死になりきれていない」と私は思ってしまいますね。

本当の意味で「スキルが必要」だと思っていない、ですか…確かにそうなのかもしれません。では、本気で「スキルが必要だ!」と思えるようになる方法はあるのでしょうか?

例えば映像制作の仕事に就きたいのであれば、映像制作のスキルを必要としている人を見つけてみることをおすすめします。「その人のためにスキルを身につけなければいけない!」となったら、選択肢に迷うこともなく必死になって動けるでしょう。もちろん、そういった人が見つからないこともあるかもしれませんが、その場合は「なぜ、そのスキルがあると人の役に立てるのか?」といったように、困っている人の気持ちになって真剣に考えてみてください。

なるほど、実際に困っている人の力になろうとすることで、スキル習得に対して貪欲になれるということですね。

そうです。それともうひとつ、自分が好きなことを徹底的に楽しもうとする気持ちであったり、自分のスキルをどこまで高められるのかを試す気持ちも、ぜひ大事にしてみてください。そういったポジティブな気持ちをとことん追求していくことでも、スキルの獲得方法の選択肢の迷いは消えると思いますよ。

自分が好きなことを徹底的に楽しもうとする気持ちを追い求めるのも良いんですね。一方で、そういった気持ちを先行させ過ぎると、今度は「社会に貢献しなくていいのかな」という気持ちが沸いてきそうですが、そのあたりはいかがでしょうか?

そこまで深く考えなくても良いと思います。どんな気持ちであれ「仕事をしていること」自体が社会貢献になっているはずですから。むしろ「社会貢献しなければいけない」という気持ちでいると、苦しくなってしまうと思います。それならば「したいからする!」という気持ちで突っ走ってしまった方が良いでしょう。私の場合も、今でこそルワンダでの事業展開などをやったりしていますが、はじめから「社会貢献をしたい」という気持ちを強く持っていた訳ではありませんから。

夢を実現するためには、いきなり実際の行動に移すことだけが正解じゃない

先程の質問と少し重なるのですが、私は映像制作のスキルに加えて、映画のプロデュースなどの仕事にも興味を持っています。そのため、学生のうちに「企画」をできる機会をつくったりなど、いろいろと挑戦しているのですが、正直そういった行動もまだ悩みを持ちながらやっているのが現状です。それを人に相談すると「それ以上はもう実際に映画づくりをやってみるしかないよ」というアドバイスをいただくのですが、正直、今の私にはハードルが高いように思えてしまいます。

私も「起業をしたい」と思ったときに、やはり周りの人に「実際に起業してみればいいじゃん」と言われた経験があります。やはり大野さんと同じように高いハードルを感じましたね。

私の場合はすぐに起業はせずに、会社員として働きながら「会社の中でどのようにお金が流れているのか」「会社としてどのような取り組みを展開すればお金が増えていくのか」といったことを常に考えて、知識を増やしていきました。同時に、その過程で「自分だったらどのようなことができるのか」あるいは「どのようなことがしたいのか」といったことに対する考えも深めていきました。それらが結果としてプログラミングスクールの創設という形に結実した訳です。もちろん、いきなり起業する手段もあったとは思いますけど、それでうまくいくかどうかは、誰も分からない。要するに、何かをしたいと思ったときにおいては「これをしなきゃいけない!」という正解は無いと思います。

いきなり実際の行動に移すことだけが正解じゃないというのは、なんとなく安心できます。野呂さんが知識や経験を積み重ねていく中で「起業」という行動に実際に移したことは、何がきっかけだったのでしょうか?

会社員として働いている中で、「そこで得られる知識や経験をすべて理解できた」と腹の底から思った時ですね。「これ以上はもっと上の役職に就かないと得られるものがない」と感じたんですが、そのためにはあと10年はかかるなと読めてしまった。10年をかけて上り詰めていくか、それともその時点までに得られた知識や経験をもとに起業するか。それぞれを天秤にかけて「起業」という選択肢を選んだんです。

野呂の「夢」の原点

そもそも野呂さんは、なぜ「起業をしたい」という気持ちを持っていらっしゃったんですか?

なんででしょうね?(笑)自分でもその点はよく分かりません。でも、昔から私は、人とは違う行動をしたがる子どもだったようです。ですから、その「人と違う行動をしたい」という気持ちが原点なんだと思います。

今は、目の前にいる困っている人の役に立てること、その人自身の価値を高められることに意義を感じていますし、それが原動力となって動いているような気がします。ですから、そういった観点から言えば「プログラミングスクールでの人材育成」という形自体には、そこまでのこだわりはないんですよ。もちろん、スクールがこれから大きくなっていき、より多くの人に価値を提供できる可能性も見出していますから、まだまだ取り組んでいく気持ちを持っています。

「人の価値を高められることに意義を感じている」とのことですが、そのように思われるようになったことのきっかけは何でしょうか?

中編でもお話したとおり大学4年生の時に父が亡くなったことと、それと私の兄が障がいを持っていることが深く関係しています。中編では、父が亡くなったときに「自分の人生を生きよう」と思ったとお話しましたが、これはつまり「人生は意思決定の連続だな」と解釈をしたんです。意思決定のたびに自分の気持ちに合致する選択ができれば、後悔がなくなりますよね。後悔がないということは、その分自分の人生に価値を感じられる。つまりは、自分の思うとおりに生きていくことができれば、生き生きとした人生を送ることができる!と思った訳です。

一方で、私自身がそう思って自分を変えるのは簡単だけど、他の人を変えることは難しいとも思いました。障がいを持っているがゆえに社会で働くことが困難である兄を見ると、なお一層それを強く感じたりしました。だからこそ「自分だけではなく他人の人生の価値も高めることができたなら、素晴らしいことだ。」と考えるようになりました。

私は実は、今は自分本位の考えを持ってしまっていると感じています。「他人の行動を変えること」を諦めてしまっている自分がいるというのが正直な気持ちです。でも私も、いつかはどこかのタイミングで「他人の行動を変えられるかも」という気持ちを持てるようになるのでしょうか?

なると思います。人によって、価値観が変わるタイミングは違うと思いますから。気負わずに、そのタイミングが来るのを待っていれば良いと思いますよ。加えて言えば、大野さんがまだご自身を自分本位だと感じられるのは、年齢が若いというのも理由だと思います。私も19、20歳の頃は「自分はこうありたい」という気持ちしか持っていませんでしたから。年を取り、経験を重ねていくうちに、価値観や考え方は自然と変わっていくものですから。焦らなくて全然大丈夫ですよ。

野呂が考える「社会貢献」

もうひとつだけ、最後にお聞きしたいことがあります。「社会に貢献する」という気持ちで事業を展開するにあたって、その「貢献」の度合については、野呂さんは考慮していたりするのでしょうか?つまりは、より大規模な事業でたくさんの人々に影響を与えたいなどと考えたり、それが事業戦略に結びついたりはしているのでしょうか?

私自身は、あまり事業規模の観点からは考えてはいませんね。それよりも、目の前にいる人の人生が前向きに動いていくきっかけになることが、私にとっては価値があることだと思っています。人数ではない訳です。ひとりの人生であっても、それが前向きに動くことにはとても大きなインパクトがあると考えています。特にアフリカの場合は、日本と比べれば困難な状況にある人が多いですから。その分、人生を前向きにしていくことの意義はより大きくなると思います。
ですから、結果としてディープロの事業戦略においては、広告宣伝よりもサービスの向上によりパワーを割いていますし、私自身もそうやって、人数は少ないながらも、意欲的な人たちがどんどん前向きになっていくことを見るのに、大きな達成感を覚えています。

人数が少なくても、ひとりひとりの人生を確実に前向きなものにしたい。そこに野呂さんの思いが詰まっている訳ですね。今回は長い時間、ありがとうございました!

はい。ありがとうございました!

まとめ

今回は「スキルの獲得方法で迷っているようでは、まだ本当の意味で「スキルが必要」だと思っていない」「夢の実現にあたっては、いきなり実際の行動に移すことだけが正解じゃない」など、夢を実現するにあたっての考え方や行動の実際のあり方について、実際に夢を実現してきた立場から鋭く切り込む形での話になりました。

今回、大学生である大野さんの立場からインタビューをしていただくことで、これまで語ってこなかったような野呂の「本音」が、かなり赤裸々な形で文章化したのではないかと思っています。今回のインタビューにより、改めて経験やノウハウを伝えることの重要性について認識することができ、私たちディープロにとっても学びが多いものとなりました。今後の大野さんのさらなる飛躍をお祈りしております!

■「前編:ルワンダにおける事業展開」の記事はこちら
■「中編:夢を叶えるためのスキル習得とキャリア構築」の記事はこちら

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