インタビュー
2019年10月8日【審査員インタビュー】観点と評価の多様性を尊重。技術力とチームワークに高い価値を感じたDEMODAY 7th
2019年10月5日(土)に株式会社サポーターズにて、DEMODAY 7thを開催。その際に審査員を務めてくださった、YassLab株式会社の代表取締役の安川 要平様にインタビューさせていただきました。DEMODAYの審査員を務められるのは2回目…前回からの変化や審査基準などについて、お話いただきました。
2019年10月5日(土)に株式会社サポーターズにて、DEMODAY 7thを開催いたしました。その際に審査員を務めてくださった、YassLab株式会社の代表取締役の安川 要平様にインタビューさせていただきました。
DEMODAYの審査員を務められるのは2回目…前回からの変化や審査基準などについて、お話いただきました。
審査員のご紹介
YassLab株式会社のご紹介
YassLab 社のやること
YassLab 社ではオープンソースやそのコミュニティと共に活きるビジネスに挑戦しています。価値と対価を交換するビジネスの難しさを認識しつつも、軸足を還元に置いた働き方を大切にしています。
RailsチュートリアルやRailsガイドはその一例です。 これらのサイトは YassLab 社のみで出来上がったものではなく、原著者や翻訳協力者を含め、さまざまな関係者がいます。 各関係者やコミュニティへの価値の還元を前提としつつ、その中で実現可能なビジネスに YassLab 社は挑戦します。 例えば CC BY-SA で公開されているRailsガイドであればそのライセンスにしたがって実現できるビジネスを模索し、Railsチュートリアルのような著作物であれば原著者の許諾のもと実現できるビジネスを実践します。
このような関係者への感謝と還元が第一にあり、その上で実現可能なビジネスに挑戦するチームが YassLab 社です。
■YassLab株式会社の企業HPはこちら
代表取締役 安川 要平様のご紹介
YassLab 代表取締役。CoderDojo Japan 代表理事。未踏ジュニア PM。早稲田大学情報理工学科卒 (修士)。
米国留学中に開発した震災対策アプリのヒットを契機に、沖縄と東京を拠点にした完全リモートワーク制の会社『YassLab』を起業。RailsチュートリアルやRailsガイドを開発し、AIITや筑波大学、琉球大学や工学院大学などで採用される。IPA認定未踏スーパークリエータ、TEDxRyukyuスピーカー、Developers Summit 2018 U-30 代表。
全国に185ヶ所以上ある子どものためのプログラミング道場『CoderDojo』を日本で始めた1人であり、未踏エコシステムの1つ『未踏ジュニア』発起人の1人。
2度目の審査で意識したのは「いろいろな観点からのいろいろな評価」
DEMODAYの審査員をされてみて、いかがでしたか?
さまざまな方とお話できて楽しかったです!
今回はチーム ノアコネクトへYassLab株式会社賞が贈呈されましたが、どのような点を評価されたのですか?
GitHub上でのIssue/PRの整理、優先度付けをしたタスクのトリアージなど、チームとしての開発力が優れていた点を評価しました。
人によってさまざまな審査基準があると思いますが、今回はビジネスや市場といったものを評価されるケースが多かったので、意図的に別の視点を取り入れました。
例えば、アカデミアの分野であればビジネスというよりは新規性が、あるいは技術的観点だと技術としての難易度の高さやチームプレイが評価されたりすることがありますが、そういった「いろいろな観点でいろいろな評価があるんだよ」
ということをお伝えしたくて、今回は技術的な部分とチーム的な部分を評価し、チームで開発をされたチーム ノアコネクトさんに対して審査員賞をお渡ししました。
審査の際に、重視されていたことはありますか?審査基準では、どのような点を意識して、採点されましたか?
先程挙げた「いろいろな評価の仕方がある」ということを伝えたいという思いもあり、今回はチーム開発に焦点を当てた審査基準
で評価しました。
僕自身もいろいろな方々のチーム開発を見てきました。でも初めてのチーム開発・初めてのプロダクト開発で大成功するチームというのは、僕の観測範囲だと10%〜20%くらいです。それほどチームプレイというのは難しく、さまざまな知識・経験を要するものなんだと認識しています。
そういった難しさの中、今回僕が表彰させていただいたチーム ノアコネクトさんは、初めてのチーム開発・初めてのプロダクト開発だったにも関わらず、非常にうまく技術やツールを使いこなして、生産的かつ効率的にひとつのプロダクトを作っていました。ここに高く評価する価値があるなと感じ、審査員賞をお渡ししました。
他に印象に残った登壇者やアプリはありましたか?
既にビジネスとして始めているチームや、海外 (アフリカ) での展開を目指しているチームが印象に残りました。新しいことにチャレンジしているプロジェクトは、はたから見てもワクワクしますね!
DEMODAY 7th全体の印象はいかがでしたか?
最優秀賞を取ったチームなど、既にビジネスとして始めているチームもあり、年々レベルが高くなっているなと感じました!
僕は6thに続き2回目の参加でしたが、7thもさまざまな洗練されたプロダクトがあったと思います。
特に、7thで最優秀賞を取られた方のプロダクトもそうですが、実際にお金を動かしてみたプロダクトが、回を重ねるごとにどんどん増えている印象がありますね。6thでもそういったプロダクトがありましたが、「作って終わり」というフェーズから、「実際に使ってみる」「いくらだったら払ってくれるか」といったフェーズに移っているように見受けました。
次回も次々回もクオリティの高いチームがどんどん出てくると思うので、一般参加者の方もぜひ気軽に来ていただけると良いかなと思います。
ディープロにどのような印象を持たれましたか?
コミュニティとしての輪が徐々に広がっている印象を受けました!
僕自身、いろいろな事業やいろいろなプロジェクトに関わっていて感じるのは、「多様性
」です。市場とかビジネスといった観点で見る、これも素晴らしいです。でも先程もコメントしたように、チームや技術にフォーカスを当てるのもいいと思います。あるいは、今回はいらっしゃらなかったかもしれませんが、アカデミアとして研究開発や技術的な新規性、基礎研究といったところにフォーカスを当てたチームが出てきてもおもしろいのかなと思います。
そういう人たちを出していくためには、そういった人たちが評価される場を作る必要があります。例えば評価する側にビジネスサイドでけでなく、研究者や教授のようなアカデミアサイドの方も招く、みたいな感じですね。
DEMODAYも既に少しずつ多様になってきていると思いますが、もっともっとコミュニティとしての輪を広げることはできると思うので、よりいろいろな人たちがいろいろな観点からコメントをしていくことで、このDEMODAYがより良くなるんじゃないかなと思っています。
未来を見据えて、緊張感と楽しさを感じる日々
普段はどのようなお仕事をされていらっしゃるのですか?
YassLab株式会社の代表取締役、一般社団法人CoderDojo Japanの代表理事、未踏ジュニアのPMを務めています。
現在の業務の楽しいことややりがいをお教えください。
常に結果を出し続ける責任を問われているところに、緊張感とともに楽しさも感じています!
YassLab
株式会社では、『Railsチュートリアル』や『Railsガイド』などを開発・運営しています。DEMO DAY 7th では5チーム中3チームが Ruby on Rails を使っていました。今回のようなプロダクト開発の場面で弊社のプロダクトをご活用していただけたこと、嬉しく思っています。現在は弊社プロダクトを活用して教育事業などを進めていただけるパートナー企業も募集しています。もし興味あればぜひお問い合わせください。
CoderDojo
は、7~17歳の子供を対象にしたプログラミング道場です。2011年にアイルランドで始まりましたが、世界110カ国に2,000以上の道場があり、日本にも189以上の道場があるんです。僕は CoderDojo Japan という公式日本法人を経営する立場にあるので、CoderDojo コミュニティがより盛り上がっていくため、あるいはもっと楽しめるようにしていくために、Facebook Japan や SAKURA Internet などの企業と連携してさまざまな仕組みづくりにチャレンジしています。
未踏ジュニア
は独創的なアイデア、卓越した技術を持つ17歳以下の小中高生及び高専生を対象とした、伴走型の開発支援プログラムですね。2019年度もさまざまなプロダクトがリリースされ、例えば僕が PM (Project Manager) としてサポートした @moppoi5168 さんのプロダクトでは、リリース早々に「窓の杜」などで大きく取り上げられたりしています。プロダクト開発はいつでも始めることができ、年齢に関係なく成果を出せる時代になってきたと思います。
■「高校2年生が開発したWindows専用脆弱性スキャナー『DetExploit』がリリース(窓の杜)」の記事はこちら
現在の業務で、大変なことや課題に感じていることはありますか?
さまざまな未来を考慮し、打つべき手を打ち、かつ、その過程も楽しめるような仕組みづくりですね。全ての業務が楽しいわけではありませんが、できるだけ過程も楽しみながら続けていきたいと思っています。
御社や安川様の今後の目標をお教えください。
『Railsチュートリアル』のパートナー企業を増やしていくことです!
営利・非営利を問わず、利用許諾契約 (ライセンス契約) を締結することで、『Railsチュートリアル』を事業で利用することができます。多くの方のRails学習の助けになれたら嬉しいです。
■Ruby on Rails チュートリアルのサイトはこちら
DEMODAY登壇者の皆さんへ一言お願いいたします。
お疲れ様でした!楽しんでいただけたのであれば嬉しいです!
エンジニアを目指している方へ一言お願いいたします。
『Progate』や『ドットインストール』、『Railsチュートリアル』や『Railsガイド』、それに『ディープロ』など、未経験からでも学び始められ、プロダクト開発をしてさらに飛躍するような、そんな道のりが日々充実してきています。エンジニアを目指す人にとってはとてもいい変化ですね!
エンジニアを目指さなくても、プログラミングを知っていれば内側から改善できる業務も世の中にまだまだ山ほどあると思います。プログラミングに限った話ではありませんし、新しいテクノロジーに触れ、さまざまな世界を知り、楽しそうなことにちょっと関わってみるのもオススメです。
ありがとうございました!