インタビュー
2019年9月10日インターン・トール セリーン マハタールさんインタビュー「東京農業大学で農業ビジネスを専攻する留学生とディープロの出会い。日本の質の高いプログラミング教育を、アフリカ・セネガルに」
ディープロでインターン中のセネガル出身トールさんインタビュー。農業ビジネスを専攻したからこそ生まれたコーディングへの興味。日本留学中の経験から感じた、母国セネガルで推進したい「プログラミング教育」の展望とは?
データマネジメントのためのアプリケーションを作りたいと思っていた。
東京農業大学に留学しながら、ディープロにインターン。何がきっかけでディープロに興味を持ったのですか?
JICAで留学をしている仲間が、ディープロのことを知っていて教えてくれました。僕はもともとコーディングに興味を持っていたんです。と、いうのも僕の主専攻は農業ビジネス。特に母国・セネガルで水揚げされる良質なタコに関するビジネスなのですが、タコのデータを管理するためのツールがほしいと思っていました。そこでデータ管理のアプリケーションを作りたいと思い、コーディングに興味を持ちました。友人に話を聞いて、野呂さんにメールを送りました。返信は1ヶ月後でした(笑)
笑。野呂さんは、トールさんの話に興味を持ったのですね。
はい、野呂さんにレジュメをお送りしたところ、より興味を持っていただくことができました。ここでコーディングについて学ぶことは、母国にとって有益だと思っていましたので、留学期間延長の申請をしました。
トータルで日本にはどれくらい滞在していたのでしょう?
2年8ヶ月です。実は7月末に帰国します。
そうなんですね! 十分に学ぶことはできましたか?
インターンだけでは時間が短すぎます。もっと実践的なこともしたくて、DIVERというソフトの英語翻訳に携わらせていただきました。アプリケーションを翻訳する作業の中で、コードを見たり、間違いを探したりする
のです。そうすることで、学び続けることができたと感じています。達成度としては69%くらいでしょうか。テクニカルチームのスタッフとコミュニケーションをとりながら作業を進めました。
ディープロの質の高い教育システムをセネガルに
セネガルでもプログラミング教育は盛り上がっているのですか?
今、セネガルでは高校卒業後に「Virtual University」というオンラインの大学に進学する人がとても多い
んです。セネガルは、公立大学が不足しているという状況がある一方で私立大学に入学させられるほど裕福ではないなど、平等な教育機会の普及に課題を抱えていました。そこで登場したのがオンラインの大学である「Virtual University」でした。もともとは大学に行けなかった人のセーフティーネットの役割を持っていたというわけです。でも今ではVirtual Universityを志望して入学する人もいますし、昨年国で最も頭が良いといわれた学生は、Virtual University出身でした。
Virtual Universityとは初めて聞きました! セネガルではポピュラーなのですね。
14カ所くらいから始まって、今は国内に45カ所の拠点(キャンパス)があります。ラップトップひとつ持って拠点(キャンパス)に行き、オンラインで授業を受け、課題を提出するというシステムです。学部も普通の大学と同じように幅広くカバーしているのですが、プログラミング教育だけはまだ十分な質になっていないと感じています。
なるほど! そこでディープロの教育プログラムが活躍できるかもしれないと。
そうですね。エンジニア志望にも起業したい人からフリーランス志望まで、いろいろな人がいます。そこで、ディープロのカリキュラムがとても素晴らしいと感じました。それに、もともと日本の教育はクオリティが高いというイメージもありますので、セネガルでも歓迎をされると思っています。
すごいお話ですね……。
僕はまもなくセネガルに帰る予定です。最初は留学生として学びにきて、日本でのビジネスチャンスも探っていました。けれど、僕は日本語がうまくない(笑)。今は国に帰ってもなお、ディープロとパートナーシップを持ち続けることに興味が移っています。セネガルに帰って自分の会社を設立するのも良いですし、どこかの会社で働いてみるのというのもいい。ネットワークを構築しながら、翻訳などの作業を続け、一緒に働きかけ続ければ1年から1年半先にはセネガルにディープロを迎えているんじゃないかな。
加えて、Virtual Universityはセネガルの国のプロジェクトです。ディープロがプログラミング教育で関わることは、ディープロにとってもメリットがあると考えています。政府のお墨付きとなるわけですから。
なんだかお話が大きくて……。ところで、タコのお仕事の件……。
正しく伝えると、タコは僕の研究分野です。セネガルはタコの産地なんです。僕はもっと海外にプロモーションをするためにできることを考えていました。そのときに僕が興味を持ったのがアプリケーションを作ることでした。今は、水揚げされたタコを管理する際など、毎日朝から夕方まで港にいて、同じようにデータを取って、さらにまとめてという作業をほとんど人手で行なっているのが現状です。これをITでスムーズにしたいと思いました。ですから、僕が会社を作って、アプリケーションを作って、政府にそれを提供することで人々の役に立てると思うんです。教授はPhDに進んでほしいのかもしれませんが、僕はキャリアを築きたいと思っています。
なるほど! これでタコのお話とITとディープロとトールさん自身の起業の話が結びつきました。
JICAも同じように漁業従事者を助けるいくつかのプロジェクトを行なっています。私たちは主に輸出入に関わりながら、セネガルと日本に素晴らしいつながりをつくりたい。そこにはたくさんのチャンスがあると思うんです。
あれも、これも同時並行的に進んでいるのですね……。本当に凄い。
リスクばかり背負っていますね(笑)
スマホに向かって長時間過ごしてしまう人々へ……
トールさんはディープロでインターンをしてよかったですか?
もちろんです。将来の選択肢が増えました
。ディープロはとても素晴らしい会社でした。そしてとても楽しい時間を過ごさせてもらいました。日本のスモールカンパニーはどこも成長をしています。それはやはりみんな一生懸命仕事をしているからなのでしょうね。
Slackなどのツールの使い方も上手で、コミュニケーションにストレスを感じることなく過ごさせてもらいました。
まもなく日本を離れるとのことですが、日本の思い出を聞かせてください。特に驚いたことはなんでしたか?
あー、電車に乗るとみんなスマホを見ていることですね。僕だったら、本が1冊あれば1時間程度の移動はへっちゃら! けれど日本人はずっとスマホを見て、社会と繋がったり、誰かとチャットをしたり。つい、「オフにして直接なにか話そうよ!」と言いたくなってしまいます(笑)
(笑)
何もかもスマホに頼ってしまうのはあまり良くないと思うんです。例えば僕、実は先週スマホを落としました。スケジュールをすべてスマホで管理していましたので、何もわからなくなってしまいました(苦笑)。きっと僕と同じようにスマホでスケジュール管理をしている方々って、スマホを落としたら半分以上のスケジュールを忘れてしまうんじゃないでしょうか。実際日本に来てから、どこか記憶力が弱った気がしているのです。簡単にスマホ(インターネット)に頼ることで、思考力も落ちてしまいます。スマホってちょっとずつ人をレイジーにすると思うんです。すべてのことがインターネットで完結したり、スマホ上に記憶されていたり。僕はここがITの課題でもあると思っているのです。人々をレイジーにする。
セネガルでもみんなスマホを持っているのではないですか?
持っていますよ。ただ、使い方が違います。例えば僕らはメッセージのやり取りをボイスメッセージで行うことが多いんです。メッセージを送って、聞いて、送り返す。違う時間に繋がることのできる電話に近いかもしれません。
なるほど。スマホとの付き合い方にも文化の違いがありますね。
僕はメッセージのやり取りやSNSを否定しているわけではありませんよ。ただ、それに時間を費やしすぎだと思います。もしInstagramが大好きなら、どうしてそれをマーケティングの仕事にしないんでしょう? 例えば自分の近況をひとつ投稿するのと同じ要領で、企業のアカウントを運営することも可能ですよね。SNSをビジネスにつなげることだって可能です。チャンスはいくらでもあるように僕には思えます。スマホはひとつのツールです。そのツールに飲み込まれてしまうのはよくないと思います。
そうですね。スマホもITも、あくまでも生活を豊かにするための手段であることを忘れてはいけませんね。
Virtual UniversityのようにITが国家教育として用いられている母国で、生活を豊かにするツールとしてディープロのメソッドを最速で紹介できるよう、働きかけ続けたい
と思います。