ディープロ

2019年7月16日

プログラマーとして勤務をする際の正社員と派遣との比較

派遣のほうが働きやすい?やっぱり正社員が安定している?プログラマーとして働く場合の両者の違いについてご説明します。

【こんな方におすすめ】
・プログラマー、エンジニアでの就職・転職活動をしようとしている方
・正社員以外の雇用形態とその特徴について詳しく知りたい方
・プログラマーで正社員として働くか、派遣で働くか迷っている方

【目次】
1. 「コアバリュー」に関わることの意味
2. 正社員と派遣との「働き方」の違い
 正社員、派遣以外の雇用形態もある
3. 正社員と派遣、どちらが良いの?どちらが成長できるの?

■話し手
ディープロ 代表 野呂 浩良
■聞き手
StartGate 永田 拓也

「コアバリュー」に関わることの意味

今日は、プログラマーとして勤務をする際、正社員と派遣を比較してみたいと思います。

働き方の違いってあるんでしょうか?見えない世界なので、知りたいです。

正社員と派遣は、契約形態の差でしかないです。ただし正社員は、会社のコアバリューを提供する業務に就きやすいですね。派遣社員として勤めると、逆にコアバリューを提供する業務には就きにくいと思います。

コアバリューって、何でしょうか?

会社における「屋台骨」ですね。その会社のビジネスで根幹とある一番重要なこと、あるいはそれをしないと同業他社との差別化が図れなかったりするようなことです。プログラミングスクールで言うと、学びの環境を設計したり、教材を作ったり、どういう方針で教えるかといったことになります。

外注ではなく自社で持っておかないと、磨いていくのが難しくなってしまうんです。外部の方でも力を発揮する余地はありますが、一時的であったり、チームで動くのが難しかったりするわけですよね。結局は別の会社に所属している方なので、社内の情報すべてを共有できない場合もありますし。

派遣だと、その会社がその会社である所以のところは、お手伝いくらいしかできない感じですかね。

そういうイメージですね。

コアバリューに関わることの良さって、どんなところにあるんでしょうか?

自分で責任をもって仕事をできるところですね。その会社が伸びるかどうかも、コアバリューがしっかり提供できるかに因ると思うんですよ。
長期的に見るとすごく影響があります。コアバリューをしっかり考えて提供することで、例えば提供する価格を上げることができたり、顧客がより多く入ってきたり、長く取引を続けてくれたり、といったことがしやすくなります。

正社員と派遣との「働き方」の違い

そう聞くと、正社員がいいのかなと思うんですが、メリット・デメリットがあるんですかね?

正社員だと、1つの職場で経営者と一体になって、方針に沿ってチームで一緒にやっていくことになります。プライベートで学ぶことも、会社に関連づけた内容が多いと思いますし、会社が向かっている方向に心から共感していないと全力が出せなかったりしますよね。

派遣だと、どんな働き方になるのでしょうか?

派遣の場合、コアバリューに深く関わることが難しい一方で、いろんな現場を渡り歩くことができるんですよね。派遣社員っていう立場を使って、この会社はこんなふうに仕事してるんだ、と職場ごとの仕事の仕方を学ぶことができます。
あとは、業務が明確になりやすいです。派遣契約を結ぶには範囲やマニュアルが必要で、マニュアルに沿って仕事をするのが基本となります。

正社員は、やりがいがありそうだなと思います。でも派遣で入ったほうが、初めてエンジニアとして社会に出る場合にはいろんな経験ができて、業務も明確だから理解しやすいんでしょうか?

そんなイメージだと思いますね。派遣といってもいろんな仕事があります。IT系の中でもボリュームゾーンの仕事って、開発よりもテストをしたり、作ったもののチェックをする仕事なんじゃないかと思います。IT白書や市場調査の資料を見ると詳しく載っています。

派遣の場合、開発現場に行って仕事ができるのは大きい会社じゃないと難しいです。雇用側から見ると、派遣の方々へ開発を外注するわけです。その人たちに一定期間働いてもらって、契約期間が終了したらさようならですよね。ある程度ビジネスが回っていて、その中で正社員で採用するよりも経済メリットがある場合にやるんですよね。

小さい会社では、それができないのでしょうか?

そうなんです。急激な成長を目指すので、創業者はフルコミットして、時には自分のプライベート含めて誘い込むことをやります。そうすると、社員は最初は年収レンジが低いので、将来の昇級を目当てにして働くわけです。

つまり、派遣の人を定常的に入れることは、一定の規模の会社だとやりやすいと思います。ビジネスが回っている中で、経済合理性を出したほうが良いですもんね。ビジネスが完成する前の会社では、あまり派遣は使わないですね。

使っても継続できないんですか?

変化し続けるので、マニュアル化が難しいんです。
だから、派遣社員でも開発に携わることはできますけど、勤務先は大きな会社となります。上場企業やSIerですね。情報システム部門で働くとか、社内のシステムのリプレイスの一部を担うといった形です。スタートアップにはなかなか関われないと思います。

未経験からいきなりスタートアップってハードルが高いでしょうか?おすすめしないですか?

ハードル高いですね。ただ、自分で成長したい人には最適なのでおすすめします。

業務範囲が限られていないぶん、大きく成長できるということでしょうか。

そうです。いろんな人から学ぼう自分で成長していこう問題解決能力を身につけよう、とコミットメントが高い方にはすごく良いと思います。
私だったら、スタートアップに行きますね。おもしろそうじゃないですか。ただ、自信があまりない方だと辛いかもしれないです。

なるほど。僕もスタートアップに関わることがあるんですが、答えがないことが多いから、できているのかできていないのかもわからない世界がありますよね。

そういう感じですよね。

どっちが良いというわけではなく、人によって合う・合わないがありそうですね。

正社員、派遣以外の雇用形態もある

スタートアップでは、フリーランスの方と直接、業務委託契約することがありますね。派遣と違って、本人との意識確認が柔軟に直接できることが特徴の1つです。
派遣だと、間に営業会社を挟むんですよ。会社を挟んで初めて本人と会うんです。面談はするんですが、「今こういう状況だからこうやって欲しいんですよね」と言っても、派遣されて来る人は決められた範囲でしかやらない傾向が強いです。

雇用側としても、いろんな業務をお願いしたいというよりは、ここをお願いしたいんだという前提があってお願いしているから、それ以外に関わることが難しくなっちゃうんですね。

あるとすると、紹介予定派遣ですね。ただし母数は多くないです。
まず見習い価格で入って、1〜2ヶ月働いてみて良さそうだったら正式に採用してください、というものです。

がんばれそうですね。

雇用する側も、人材紹介してもらって、面接で全部決めなきゃいけないより安心ですよね。開発会社の社長さんから何回か言われたことがありますが、あまりやっている会社がないんです。たくさんの人がぐるぐる回るものではないので、儲からないんでしょうね。

ビジネスモデルの違いもあるんですね。

正社員と派遣、どちらが良いの?どちらが成長できるの?

Image from Gyazo

いろいろお話を伺いましたが、どちらが良いとかあるんでしょうか?

それぞれに良さはあります
正社員で入って、企業の理念に沿ってフルコミットして、チームワークを意識しながらみんなでやっていこう、と仕事できれば、むちゃくちゃ楽しいと思います。
ただ、うまくチームワークができなかったり、自分の殻をつくってタスクしかできなくなってしまうと、あまり正社員でいる意味がなくなってしまうと思いますね。周りとの温度感もできて辛くなると思います。

そんな時はどうしたら良いのでしょうか…?

派遣社員でいろんな会社を知りながら、自分は何ができるんだろうと整理する期間にしてしまうのもありだと思いますね。派遣社員でも、開発に携わることはできると思います。ただ、そのほとんどがSIerや、上場していてビジネスモデルができていて、一定の仕事を一定のペースで回している会社ですね。正社員を雇用するより経済合理性があって、かつ顧客にサービス提供できる人を募集している会社になると思います。
そうするとスタートアップのような環境はおそらく手に入らないでしょう。大規模なシステムを部分的に関わることになると思います。

部分的だと、成長しにくいですか?

それが本当に力になるのか、答えのないことを経験できるかっていうと、そこは自分次第だと思いますね。
マニュアルを超えて自ら学ぼうとする必要があります。否が応でも答えのない問題がやってくると、否が応でも成長するじゃないですか。逃げ出したくなるかもしれないけれど。
成長したいと思ったら、自分から取りに行かないといけない

マニュアルの世界だけでは、怒られもしないけれど、成長もしないですよね。

一長一短ですよね。スタートアップに行ってフルコミットできつい人は、「こんなきつい環境ではなくて、教えてくれる環境がいい」と言いますし、逆に範囲が決まっているところへ行くと、「コードを書いているんだけど、全然成長しない」と言うんですよ(笑)
両方満たしているところはなかなかないです。結局は自分の姿勢ですよね。

成長できるかは、雇用形態とかじゃないんですね。

そういう環境が待ち受けていることをわかった上で、どう行動するかですね。

どっちのほうが自分が動くことができるのか、考える必要がありますね。

もしスタートアップの正社員できつかったら、フリーランスの人に師匠になってもらうのもいいですね。月5万円とか10万円払って相談役になってもらうんです。会社に申請をすれば、お金を少し出してくれるかもしれないですね。
派遣で働いていて、もう少し成長したいと思ったら、会社の人に「もう少しやりたい」と言えば仕事を任せてくれるかもしれないです。それが難しければ、勉強会に行ったりすればいいじゃないですか。

結局は自分の姿勢次第なんですね。理解できました!ありがとうございました。

まとめ

・会社の「コアバリュー」、つまり根幹となる価値に関わって仕事をするには正社員になったほうが良い。自分で責任をもって仕事ができることが魅力である
・正社員は、会社の方針に沿って、チームで一緒にやっていくことが特徴。急成長するスタートアップの環境で働ける可能性も高い
・派遣は役割範囲が明確で、いろいろな会社を見て良いところを学ぶことができることが特徴。派遣で働きながら、自分は何ができるのかを考える期間をつくることもできる
・どちらがより成長できるかは、環境ではなく自分次第。マニュアルを超えて自ら学ぼうとする姿勢が求められる

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