ディープロ

2020年1月9日

採用者の心、応募者知らず?就職活動でのミスマッチはなぜ起こるのか?

転職活動において、採用者と応募者の視点には違いがあります。その違いを認識しておかないと、ミスマッチが起こる可能性があるのです。ディープロ代表の野呂とスナップマート株式会社の取締役CTOの星 直史様との対談で解説します。

転職活動において、採用者と応募者の視点には違いがあります。その違いを認識しておかないと、ミスマッチが起こる可能性があるのです。ディープロ代表の野呂とスナップマート株式会社の取締役CTOの星 直史様との対談で解説します。

【こんな方におすすめ】
・未経験からプログラミングを学んで就職したいと思っている方
・エンジニアとしての転職活動がうまくいかず悩んでいる方
・企業の採用担当者が重視するポイントを知りたい方

【目次】
1.まず認識しておきたい、若手とベテランエンジニアの考え方の違い
2.「環境を与えられて当たり前」と思っているのはキケン
3.他責傾向の人は一発でアウト
4.カルチャーマッチへの誤解とその真意
5.まとめ

■話し手
ディープロ 代表 野呂 浩良
スナップマート株式会社 取締役CTO 星 直史様

まず認識しておきたい、若手とベテランエンジニアの考え方の違い

今回は、「採用者の心、応募者知らず?就職活動でのミスマッチはなぜ起こるのか?」について話をしたいと思います。主に、ソフトスキル、マインドセットの話ですね。

ハードスキル、つまりプログラミングのスキルによるミスマッチは、単に面接担当者が応募者を見る目を養いきれていないからです。今回はテーマを絞るため割愛します。

では、「人となりやマインドセットによるミスマッチがなぜ起こるのか」を考えます。プログラミングスクールが台頭してきたことで、応募者が持つ「プログラミングスキル」の層がひとつ増えたなと感じています。誰かに教わって、そこから転職活動をしている層ですね。採用活動においては、3〜4年前からこの層の応募が増えました。

その頃から、社内にいるエンジニアのマインドセットも少しずつ変わってきたと感じています。「教えてもらうのが前提」という人が増えてきました。30代中盤以降のベテランエンジニアは寿司職人みたいな感じで、「技術は自分で学びなさい」と考えています「成果は自分で出しに行くものだ」という論調で話すんです。
逆に若手のメンバーは、「期限が迫っているのに終わらないのは、そもそも期限の設定が間違っている」という考え方です。学び方においても、「体系立っていないと吸収率が悪くなるから、用意されていないのが悪い」と言うんです。

なるほど、そういう対立になるんですね。他の会社さんでも聞いたことがあります。ベテランと新人がうまくいかない状況はよく耳にします。

若手の言うことが時代背景的には正しく、今のマス層はそのような価値観を持つ方達だと思っています。シニアエンジニア1人に対して3人の若手がつく構造だと、思想の数が1対3になりますよね。ベテランが過去の時代には正しかったことを言っても、若手3人から「いや、そうじゃないです」と言われてしまいます。そうなると、ベテランは、「自分のやり方は間違っていたんだ、僕のいるところはここじゃない」と言って違うところに行ってしまうんです。

そこに影響が出てくるんですね。数の力学で、1対3だったら権威を持っていない限りは負けますよね。

働き方が嫌だと思った人はスタートアップに流れてきますね。もしくは、働き方が前時代的な企業で改めて1からがんばる感じですね。どちらが良い悪いではなくて、シニアエンジニアはまずこの構造を認識するべきなんです。業界構造が変わってきているし、若手の価値観も自分とは違うことを認識して、合わせにいかなければいけないです。

「環境を与えられて当たり前」と思っているのはキケン

Image from Gyazo

ただし、若手のエンジニアも、学ぶ姿勢が受動的で「教えてもらって当たり前」という前提は、自分の成長を阻害する要因です。これは認識を改めた方がいいと思います。

こういう、採用する側の人の心や環境を理解しないままだと、入社した後に問題が表面化しやすいですよね。

そうですね。この点を採用面接で見ますね。「教育体制はどうですか?」、「教えてもらう環境はありますか?」、「勉強会やってますか?」がよくある質問なんですけど、これらが出てくると、ちょっと怪しいなと思ってしまいます。

なるほど。

逆に、「自分でどうやって勉強してますか?」などと聞くと、だんだんボロが出てくることがあります。

私もスクールを運営していて、コースによって受講者の属性が違うことを肌で感じます。技術的に後から出てきた機械学習コースは、自分でどんどんやる人が多いです。逆にWebエンジニアコースは、効率的に教えてもらいたい人が多いんですよね。

そもそも技術で選んでいるような気がしています。前例がないものをやろうとする人と、前例がある領域で手に職を持ちたい人とでは違いがありますよね。ハイプ・サイクル(※)のように、新しくできる技術は、職人肌的な人が移り続けるんだろうと思います。

※技術の成熟度や社会への浸透度を示す考え方。黎明期、流行期、幻滅期、回復期、安定期の5つの段階から構成される。

専門職だったエンジニアがマス化していると思います。PCひとつあれば誰でもできますよね。そして誰かに教えてもらえるのが1番楽だし、効率的です。人間は易きに流れますからね。
でも、苦しんで試行錯誤して覚えるのが、一見遠回りだけど1番近道だと思うんです。採用でも、教えてもらう姿勢はあまりなく自分で考えて動く人を求めています。内定率は2〜3%ですね。前時代的かもしれませんが、採用基準として求めているのは、自分でチャンスを取りに行く人です。

採用面接の過程で「環境は用意してくれるんですか?」と言われてしまうと、「ああ、受け身の姿勢の方が来たな」と思いますよね。

もちろん、ある程度教える仕組みがないと破綻するので用意はしますが、それを言葉通り受け取って、「教育を受ける環境があるんだ」と思うのはお門違いです。

他責傾向の人は一発でアウト

Image from Gyazo

自分で動く姿勢がある方が、結果として到達点が高いという話がありました。エンジニアに限らず、教える側もそうだと思いましたね。教え方を教えてくれる人なんていませんでしたから。自分でやりながら、どうしたらいいか考え続けているうちに、役に立てる状態が増えていきました。エンジニアや他の仕事もすべて一緒なんだと思います。自分でチャレンジしにいくことが大事ですね。

マネジメントにおいては、教えてくれる人が圧倒的に少ないんですよね。体系立ってもいないので、皆、苦しむんです。まず、その認識ができるかが分かれ目であり、あとは経験の世界です。きちんと自責ができない人はマネージャーとして伸びないですね。価値観の転換が必要です。うちのマネージャーは全員失敗を経験しています。問題を他責にしてしまって、メンバーと仲がこじれるんです。「それではダメだよ」と指摘をすると、「わかりました」と理解して成長しています。

企業は、採用の時にそこを見ますよね。いずれ活躍してほしいと思っていますから。自責で捉えられるかきちんとした環境がなくても自分でやろうと思えるか

他責傾向の人は一発でアウトです。転職理由を聞くとき、現職での悩みは環境要因なのか、そして自責なのか他責なのかを大きく分けて見るんですが、環境要因ではなく、かつ他責にしている人は、面接3分で終わりますね

カルチャーマッチへの誤解とその真意

これから転職活動で応募しようという人へ、メッセージをお願いします。

これから活動を開始しようという人へ、もうひとつ話をしたいことがあります。カルチャーマッチが大事だということです。カルチャーマッチが何なのか、応募する人と採用する人に認識のギャップがあると思っているんです。

応募者は、その会社にいる人たちと気が合うかをカルチャーマッチだと思っていることが多いです。「どういうチームに配属されて、そこにはどんな人がいるのか」をよく聞かれます。不安なのはわかりますが、「半年後にチームが変わるかもしれないのに、それを聞いてどうするんだろう」と思うわけです。人と気が合うことがカルチャーマッチとは言えないんです。

採用者が考えるカルチャーマッチとは、会社の理念やビジョンと、応募者の人生とのベクトルが合っているかどうかです。そこが合っていれば、人間関係が多少悪い状態になったとしても、自分で方向を修正して走ることができるんじゃないかと思っています。これが、カルチャーマッチが重要であることの真意です。

単に人の相性ではなくて、会社が目指しているものに対して、自分も同じベクトルでやっていきたいと思えるかどうかなんですね。

そうです。会社の理念やビジョンと合っているかを見定める第一歩は、自分の価値観を考えて定義することですね。

自分がわからなければ、相手と合うかもわからないですもんね。相手に合わせてばかりでは、いつまで経っても隣の芝生が青く見えますよね。

そういう人は、3年後に辞めるでしょうね。

重要なことは、ソフトスキルの中でもマインドセットであるというお話をさせていただきました。そしてカルチャーマッチですね。会社の理念やビジョンが自分のベクトルに合っているかどうか。これらを押さえて羽ばたいていきましょう、ということですね。ありがとうございました!

まとめ

・ベテランエンジニアと若手のマインドセットは異なる。ベテランは自分で動いて成果を出すことが当たり前だと思っているのに対し、若手は環境を用意されていないことが悪いと捉える傾向がある。
・「環境を与えられて当たり前」と思っていると、自分の成長を阻害する。採用者としても、試行錯誤しながら自ら学ぶ姿勢を持つ人、自分でチャンスを取りに行く人を求めている。
・他責傾向の人は成長しない。マネージャーになってもメンバーとの人間関係で失敗する傾向がある。採用において、応募者が他責傾向であることがわかると、一発でアウトになる。
・応募者は、カルチャーマッチへの誤解がある。同僚と気が合うことではなく、会社の理念やビジョンと自分の人生のベクトルが合っているかがカルチャーマッチである。合っているかを見定める第一歩は、自分の価値観を考えることである。

いかがでしたでしょうか。応募者と採用者の考えの違いや、採用者が重視しているポイントを理解いただけたでしょうか。これらを参考にしていただき、ご自身がカルチャーマッチする企業への転職をぜひ勝ち取ってください。

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