インタビュー
2019年3月15日【対談企画】フリーランスエンジニア・デビューへの登竜門
2019年03月06日【対談企画】フリーランスエンジニア・デビューへの登竜門、ディープロ卒業生でもある株式会社FromTo代表取締役の宮城さんをお招きして対談イベントを開催しました。
まずは簡単な自己紹介をお願いできますか?
株式会社FromTo 代表取締役の宮城 浩です。出身は沖縄県、地元のシステム会社に入社し、残業300時間、トータル450時間、年収300万未満 という状況を経験し、しかしそんな年収でも沖縄では平均以上だったという衝撃を受け、東京に移りフリーランスのエンジニアになる道を選びました。
今でこそフリーランスという働き方が認められてきましたが、その当時7〜8年くらい前は、あまりメジャーな存在ではなく、フリーターと同じような意味合いだったと思います。
また、フリーランスの知り合いはあまり尊敬できる人はいませんでした。収入や時間があっても、それをただ浪費しているような人たちが多かったです。
実際、フリーランスの比較的高めの収入は、会社員のような将来の安定を代償にして得られているようなものなので、それを浪費するような事はしたくはないという想いがありました。また、いざフリーランスになってみると、最初の印象ほどハードルが高くないという実体験もあったので、こうした想いからフリーランスエンジニア向けの指南書
をイメージしてブログを書き始めました。
そうした自分なりの活動が、キャリアアドバイザーの仕事やアテンダー
という自社サービスの立ち上げにも繋がり、今の自分があるという感じです。
自己紹介の中にありましたが「フリーランスはフリーターと同じ
」って結構、衝撃的なフレーズですね。
フリーランスエンジニアの中には、仕事を請けたのにちゃんと現場に来ないとか、すぐ病気になってしまって仕事にならない、いつの間にか失踪してしまうというような人もいて、そもそも社会人として信用できない人もいました。
また、会社員としては採用されないような人でも、フリーランスとして限定的に仕事をしているような人が多かったので、フリーランスの印象は悪く、風当たりは強かったです。
最近になってフリーランスという言葉をよく聞くようになったと思いますが、何かきっかけがあったのでしょうか?
社会の価値観が徐々に変化してきたというのが一番の理由だと思います。
昔は「お国のために」働くという価値観が、「企業のために」に変わり、今は「個人のために」「自分のために」働くべきというように変化してきました。
また、多重請負構造
によるマージンの中抜きなどで、仕事を受注する企業が価値のある仕事をしていないという事も、世の明るみになって、会社員でいる事の価値そのものが低くなってきたのではないでしょうか。
確かに企業が時代の変化に合わせた成長ができずに、ずっと停滞しているようなイメージがあるので、みんなが企業で頑張ってもしょうがないと感じるようになったのかもしれませんね。
あと「将来の安定を代償にする」とは具体的にはどういうことを言うんでしょうか?例えば退職金のようなものを指すんでしょうか?
もちろん退職金もありますが、そもそも雇用契約が保障されてる事があり、会社が普通に続く限りは年収も少しずつは良くなっていくという安定感
です。
一方フリーランスは 一時収入が良かったとしても案件が終わればまた次を探さなければいけません。都合よく次の案件が見つかるとも限りませんし、今、自分が持っている技術が5年後も通用するとも限りません。会社員であれば、社員のスキルは会社のスキルと言えますから、会社が社員のキャリアステップを考えてくれますが、フリーランスは自分自身でそれを考え実践していかなくてはなりません。
たとえば、それまでcobolエンジニアだった人が、ある日、案件が無いからといって、いきなりJavaを学ぼうと思っても簡単にはいきません。
案件の切れ目が縁の切れ目とも言えますね。
そうですね。でも、自分としてはそんなフリーランスがいいと思ってます。
案件が切れたらまた次の現場に行って、また違う仕事や技術を経験する。そうやって複数のスキルを身につける。これがエンジニアの強みになっていきます。これをキャリア・サーフィンと呼び、フリーランスは案件を変える度に成長していくことができるのです。
会社員では一つのところにずっと縛りつけられてしまう事も多いため、この点はフリーランスの方が良いと思います。
そもそもフリーランスになる方が良いでしょうか?具体的なメリットって何なのでしょうか?
まずシンプルに収入面で会社員よりも有利と言えますが。そうですね、あえて逆の視点で「会社員ってどうなの?
」というお話をしたいと思います。
はい、お願いします。
まず、評価についてです。そもそも会社員の評価っておかしいと思いませんか?
例えばエンジニアはお客様のところに常駐することがよくありますが、 そのエンジニアの評価を誰が行なっているかと言うと普段その現場にいない上司です。その上司は評価をする際に、どこで判断するかというと、対象のエンジニアが資格を持っているかどうか?営業から話を聞いて現場での評判は良いか?などで判断します。とても浅い根拠で評価をされる事、時に人生を左右されるかもしれない大事なことが、こんなやり方で行われている事にとても疑問があります。
ついでに言えば、そもそもエンジニアは資格の有無で評価されることがよくありますが、その資格を実際の仕事に役立たせてるエンジニアは本当に稀だと思います。
確かに・・・
次に、働き方の自由度についてです。会社員エンジニアは色々な意味で会社に縛られています。
たとえば、会社の規則上一つの仕事しかできなかったり、自身で他のスキルを身につけようと思っても、会社の方針などから、自分がやりたいと思ったものよりも優先しないといけないものがたくさんあります。自分の時間を自分が使いたいように使えない。問答無用で会社の方針に従わなければいけないという事が、まず私にとっては大変なストレスでした。
会社員だと安泰だと言い切れるような時代はもう終わったと思います。たとえ会社員だったとしても5年後どうなってるかなんてわからないような時代です。
そう考えると会社員で収入源が一つで、色々なものに制限がかけられている方が大きなリスクであって、多少のリスクはあっても可能性が広がるフリーランスの方がメリットがあると私は考えます。
フリーランスになって、収入面や自由になる時間を確保しつつ、自分の将来を考えて最適だと思うことをやるべきということですね。
はい、フリーランスになったら、請け負った案件と自分自身のビジネスの両方を行う複合型の働き方
が私のオススメですね。
収入が増え時間もできるのでそのお金と時間を使ってレベルアップしていくと良いと思います。
フリーランスになれば、みんなが複合型フリーランスになれるのでしょうか?
1年目で軌道に乗せるのは、さすがに難しいと思います。
でも、1年目は自分のサイトを作って情報発信を始めたり、2年目はそのサイトのデザインを変えて、具体的なビジネスを開始するみたいに、徐々に段階を踏んでいけば良いと思います。
またそれを実行するために、いろいろ調べたり、人から話を聞くことも、エンジニアとしてステップアップするための自己投資と言えるかと思います。
では、今度はちょっとフリーランスになった後の話を聞かせてください。まず注意した方が良いことなどありますか?
あまり自分からフリーランスだと言わない方がいいかもしれません。
特に大企業などに配属されるような場合は契約元が二次請け、三次請けで仕事を受けている場合があり、契約形態が複雑で、それを周りの人たちが知らない場合もあります。
別に誤魔化すわけではありませんが、話をややこしくしないために、契約元会社の契約社員ですという言い方くらいが丁度良いです。
なるほど、いろいろと込み入った話があるんですね。
あとフリーランスだと周りの人から技術が高いとか収入も多いとか勝手なイメージを持たれて、仕事のハードルが高くなる場合があります。
逆にフリーランスから社員になる人というのはいるのでしょうか?
たまにいますね。女性の方に多いかもしれません。社員になっておく方が、今後の安心だからという理由だと思います。
ただ、このケースはフリーランスを仲介するエンジニアの立場からすれば、企業からエンジニアを引き抜かれたような話になるので面白くはありません。こういった話がある場合は注意が必要です。
フリーランスになった場合どんな案件がありどんな技術を身につけていくべきでしょうか?
5年後を踏まえて判断していた方がいいと思います。もちろんトレンドの技術をつけていくべきで、私が参考にしているのはガートナーが発表している「ハイプ・サイクル
」です 。
参考)ハイプサイクル
https://www.gartner.co.jp/press/pdf/pr20181011-01.pdf
これを参考に、これからどんな技術が注目を浴びるのかを踏まえつつ、自分が興味を持てる技術を勉強すれば良いと思います。
ちなみに未経験者がいきなりフリーランスからスタートするというのはどうでしょうか?
私はオススメしませんね。業界経験の無い人がフリーランスとして案件を取るには何らか経歴を盛る必要があります。そうした人たちはたとえ良い案件が取れたとしても長続きはしません。
フリーランスになるためにはこういった経験があると良いというものはありますか?
要件定義や設計の経験がある人、何らかの要望を聞いてそれを形にできる人、図解能力がある人などは、技術力がなくても PM や PMO、コンサルの仕事などが回ってくる可能性があります 。
この他にもお客さんと接する仕事をしていた経験がある人は成果物に対するチェック能力も高いです。 さらに、相手の要望を汲み取ってわかりやすい資料を作れる人は、どこに行っても重宝されます。
では、最後になりますが「起業」と「フリーランス」では、どう違うのでしょうか?
漫画で例えると、HUNTER×HUNTER(ハンター×ハンター)って、ご存知ですか?ハンターとして自分自身のスキルを磨き、強くなっていくことで、報酬も高くなっていきます。これはまさにフリーランスの世界です。
一方で、「起業」はワンピースの世界。まず、何かをしたいという想いがあって、そこからどれだけ仲間を巻き込んでいけるか?が成功への道のりだと思います。
なるほど、とてもわかりやすい例えですね!宮城さん、今日はありがとうございました!!
株式会社FromTo 代表取締役 宮城 浩 氏 プロフィール
1986年沖縄県生まれ。月250時間超が標準化の企業にSEとして従事。3年目に「月450時間(残業300時間)」を経験し、上京を機にフリーランスエンジニアへ転身。4年間のフリーランスの経験を経て、実体験から「SEはフリーランス化すべき」を掲げキャリアアドバイザーとして活動。相談後、フリーランスとなったエンジニアを集め非公開コミュニティE2C運営。2018年株式会社FromToを設立。観光サービス『アテンダー』開発に注力。2019年4月β版ローンチ予定。
フリーランスエンジニアのためのブログ『脱・社畜se』
https://xn--se-ij7e50l.jp/
株式会社FromToの観光サービス『アテンダー』
http://attender.guide